イベントレポート
Club Motoring in Munich (4)
Club Motoring in Munich (4)
●BMW M社 訪問レポート
BMW M Gmbh。それは静かな工業団地と思しき一角にありました。訪問前にM社の社屋はあまり大きくないと聞いておりました。確かに数階建てのビルではありませんが、広大な敷地にBMW Mと記された数棟の社屋があり、決して小規模の物ではありません。何しろ"BMW M"の文字を見ただけで、私は完全に舞い上がってしまいました。
バスを降り、ゲートをくぐると3名の方々の出迎え。5月1日のメーデーはドイツでは完全な休日にも関わらずMr.Jan Schemuth他2名の方が、BMW Club of Japanの訪問のために休日返上で対応して頂いたことに、感謝を超えて感動しました。
歓迎の挨拶を頂いた後、注意事項が「写真撮影は建物の中では構いませんが、建物の外では、ご遠慮ください」というものです。外には一見普通のBMWモデルが並んでいるだけですが、ここは「スペシャル」なBMWモデルを産み出す所。すなわちただのBMWモデルではないのです。この辺りが"BMW M"らしいと言った所でしょうか。
さて我々はBMW M Studioと記された建物に案内されました。M Studioに入ると、最新のE61 M5 Touringをはじめとする歴代のMモデルが寸分の狂いもなく並べられています。また、individualの一角もあり、顧客の要望に応じカスタマイズするindividualは、国内への正式導入もはじまり人気があります。その奥にはBMW Fahrer-TraningとボディサイドにペイントされたE91 3シリーズツーリングが置かれています。
写真撮影のお時間を頂いた後、いよいよMモデルについての説明が始まります。
BMW M社の業務内容は大きく3つあります。まず、Mを冠する車両の企画開発、individualと呼ばれる世界でただ1つのBMWモデルの製作、そして、ドライバー・トレーニングの監修、開催です。
それぞれについて説明をうけましたが、M社のコンセプトは独自のもので一切のブレも無いという事です。
(蛇足ですが、BMW本社自体コンセプトにブレが無い会社と言えますが、M社はその業務が限定される分だけより鮮明と思えます。)
いまや、プレミアムメーカーと呼ばれる他メーカーもBMWのMにあたるイメージリーダーたる高性能車を必要とし、ラインナップを強化しています。それらは Mの強力なライバルでもあり、M社もそれを認識しています。しかしながら、メーカーが自ら高性能車を別に設定するというコンセプトはBMWがはじめたものであり、その信念は最初から不変でこれからも変わらないとの説明を受けました。
M社の車両開発条件と言えるものは
・Best dynamics
・Super agility
・Best feedback
・Innovation
・All day capability
一通り説明が終わるとコーヒータイムとなりました。先に記したBMW Fahrer-TraningのE91 3シリーズツーリングはブレーキシュミレーターを備えており、いかに早く強くブレーキングできるか計測できますので、挑戦すると顔写真いりの計測データをもらえるそうです。
さて、この部屋の中で一番気になるものの報告に移ります。MのキャラクターレターとInnovation crafted at BMW Mと掲げられたステージにまさにベールに包まれた車両が1台あります。
ブレークタイムが終わるや否やMr.Jan Schemuthが、その車両の傍らに立ち合図によってベールがはがされて行きました。同時にフラッシュの嵐と言えば大げさでしょうが、現れたのはアルピンホワイトのE92 M3です。まるでF1の新車発表会のような演出に一同感激しました。
ここでE92 M3の開発コンセプト、各部の説明を受けます。たっぷりと時間をかけてフロント・サイドリアと回り細かく解説して頂きました。もちろん新開発のV8エンジンやコクピット周りの解説もあり参加者は皆、シートに座ることも出来ました。M3コンセプトモデルではシルバーでしたが、生産型のオフィシャルフォトではメルボルン・レッドとなりましたが、イメージカラーはカーボンルーフが精悍なアルピン・ホワイトとなるようです。
夢のような見学時間もいよいよ終わりに近づきました。訪問の感謝を表すため、細淵会長よりMr.Jan Schemuthに記念の記念品が手渡され、BMW M社でのプログラムは終了となりました。
この日の夕食はM社の方々とご一緒するという、大変素晴らしいサプライズもあったことを報告します。
今回の訪問はM社のコンセプトを直接お聞きするだけでなく、開発に携わっている方々の人柄にも触れることができ、大変貴重な体験となりました。
最後に説明を頂いたこの言葉で報告を締めくくりたいと思います。
「Mのエンジンコンセプトは、高回転である」
蓮見 晴久